スタッフ
- 代表取締役社長/牧場・チーズ部門責任者
木下 荒野Koya Kinoshita
1989年(平成元年)長野県小布施町生まれ。須坂園芸高校、酪農学園大学酪農学科を卒業。永井農場(東御市)にて3年3ヶ月間、稲作と酪農部門を担当。ニュージーランドのNorthash社にて1年間、放牧型酪農を経験。その後1ヶ月間、妻とイタリア、スイスの牧場をめぐり、食文化、生活文化に触れながら遊学。人工受精士。家族は妻と3児。
インタビュー記事 - 専務取締役/ジェラート・カフェ部門責任者
木下 真風Makaze Kinoshita
1986年(昭和61年)長野県小布施町生まれ。荒野の兄。大学卒業後、御茶ノ水の山の上ホテルに8年間、勤務。宴会部にて現場における配膳業務の給仕長を務める。2017年(平成29年)1月、起業準備のため帰郷。家族は妻と2児。
- 取締役用務員/総務・企画・広報・環境美化部門担当
木下 豊Yutaka Kinoshita
1959年(昭和34年)長野県小布施町生まれ。真風、荒野の父。出版社、新聞社を経てフリーのライターに。30歳前後に1年半、妻子とオーストラリア、フィリピンに滞在して遊学。まちづくり会社ア・ラ・小布施を経て、1999年1月に出版社「文屋(ぶんや)」を創業。ビジネス書、自己探求書、絵本などを出版している。小布施牧場では「用務員」として、経営全般を見渡している。家族は母と妻。子は2男1女。文屋公式サイト:http://www.e-denen.net
信州小布施発。
ジャージー牛の自社産ミルクによるジェラートとチーズが誕生!
わたしたちは2018年春、長野県小布施町に小布施牧場を開業しました。コクのあるミルクを生み出すことで知られるジャージー牛の新鮮なミルクを使って、ジェラートとチーズをつくっています。
小布施牧場を創業したのは、この町で生まれ育った、わたしと兄の真風、そして2人の夫人です。遊休農地を耕して栽培した牧草やトウモロコシ、ダイズ、地元の水田でとれた稲わらなどを牛のエサにして、飼料の小布施産100%を目指しています。
地元で採取された善玉菌(乳酸菌・酵母菌・納豆菌など)を牛に食べさせたり、飲ませたり、堆肥に混ぜたりすることで、「臭いがない」ことを越えて「いい香りのする」牛舎を目標にしています。
東京ドームと同じ広さの雑木林「小布施千年の森」には、小布施牧場が営む工房&カフェmilgreenがあり、地元の旬の果物や野菜などを生かした出来たてのジェラートをお楽しみいただけます。森の下草をはむ子牛たちを眺めたり、森を散策したり…。
みなさん、信州小布施にお越しの時は、milgreenに遊びにお出かけください!
創業メンバー。小布施牧場の栗園にて
目指すのは「楽農」=小規模・放牧型・地域内循環型の高品質の六次産業
日本の酪農業界は、配合飼料と呼ばれる栄養価の高い輸入飼料を牛に与え、その牛から搾ったミルクを乳業メーカーに売る一次産業型です。小布施牧場は、小規模・放牧型で、地元産中心の飼料で育った牛のミルク(一次)を、ジェラートやチーズに仕上げて(二次)、自社のお店でお求めいただく(三次)、六次産業型です。
小布施人は昔から、ブランド栗を栗羊羹などの上質なお菓子に仕立て上げ、付加価値をつけることで、こんにちの繁栄を築いてきました。この栗菓子産業は小布施牧場のお手本です。
わたしたちの使命は、里山における小規模・放牧型・地域内循環型の高品質の六次産業で、日本の酪農のあるべき一つのモデルを創り出すことです。スタッフみんなが、この使命を果たすためにやる気に満ちて幸せに働くことを通して、関わる人たちみんながハッピーになる末広がりの年輪経営をつづけていきます。
新しい雇用を生み出して、定住促進や税収にも貢献し、小布施の人たちに誇りに思っていただける会社に育てたい。そんな志を込めて、商品には最初から「小布施ジェラート」「小布施チーズ」と名づけ、緊張感をもって臨んでいます。
milgreenのジェラート製造機やショーケースは、
本場イタリアの最高級ブランド・カルピジャーニ社製です。
「日本の農業のあり方を考える」。塚越寛さんのメッセージに決意
2010年元旦、北海道の酪農学園大学から帰省していたわたしは、地元紙「信濃毎日新聞」に掲載された1ページ全面広告にくぎづけになりました。
「かんてんぱぱ」ブランドで知られる伊那食品工業株式会社の会長・塚越寛さんが旅先で撮影したスイスの美しい田園風景の写真には、「日本の農業のあり方を考える」と題した塚越さんのメッセージが添えられていました。
山間部の農地が荒れつつあります。
高齢化に伴う農業就農者の減少もその原因のひとつと言われています。
よく手入れされた農地は観光立国には欠かせません。
ゴルフ場と見間違うようなスイスの景観。
スイスには荒れた農地や見苦しい薮はありません。
家畜がきれいにしているのです。
将来の観光立国を見据えて、私たちは20年、30年後の日本の農業のあり方を考えるべきだと思っています。
「農業生産法人ぱぱな農園もその為の小さな努力のひとつです。
将来の道を思い悩んでいたわたしは、その後、このメッセージをいつも念頭に置いて模索をつづけ、国内外の牧場での体験を経て、小布施牧場の開業に至りました。
小布施牧場の原点になった伊那食品工業株式会社の全面広告©信濃毎日新聞社
エリザベス女王御用達のゴールデンミルクを生むジャージー牛
ジェラートやチーズのおいしさは、牛乳の質で決まります。小布施牧場では、ミルク感たっぷりで、「コク」と「うまみ」に優れているジャージー牛乳の特長を、生かしきることを大切にしています。
ジャージー牛は日本で飼育されている乳牛の全頭数のわずか1%という希少種です。英王室専用のミルクをつくるために、イギリスのジャージー島で長年にわたって他の品種から隔離されて改良され、乳牛の中では最も濃厚な牛乳を生み出す独自の品種になりました。
ジャージー牛は、ホルスタイン種などほかの乳用牛の中では最も体格が小さく、採れる乳量もホルスタインの半分ほどしかありません。特長は、草を良質のミルクに変える能力に優れていることです。
乳脂肪分、無脂乳固形分が高く、濃くてクリーミーな牛乳です。生産量の少ない貴重品なうえ、高タンパクでビタミンやミネラルなど栄養価が高く、英王室の御用達であったことから、現在でも高級品と位置づけられています。
ジャージー牛のミルクは、淡い金色をおびた美しい色をしているため「ゴールデンミルク」と呼ばれています。
土着の善玉菌を栽培や飼育、土壌改善に活用
小布施牧場は〝菌ちゃん農法〞に取り組んでいます。乳酸菌や酵母菌、納豆菌など、いろいろな善玉菌の助けを借りる農法です。使っているのは、地元の農家・工藤陽輔さん(ファーム陽明代表)が、小布施の田畑で採取して培養した土着の善玉菌です。
善玉菌の液で発酵させた米ぬかボカシやこの液を牛に与えることで、ふん尿は良好な発酵状態で排せつされます。それに米ぬかボカシを混ぜることで、上質な発酵堆肥が出来上がります。
わたしたちは、牧場専属の栗園や野菜畑に、この発酵堆肥を施して土壌を肥やしています。善玉菌の液を栗の葉面にかけると光合成が活発になります。春先から収穫前までに、枝葉と土に10 回以上、散布しています。
信州小布施は、江戸時代、特産の小布施栗を徳川将軍に献上する御天領でした。
小布施牧場の栗園は、小布施町の中でも「栽培好適地」といわれる地域にあります。低樹高栽培により、太陽の恵みをいっぱいに受けて育っています。
秋には、「小布施牧場の小布施栗」として、直接、お求めいただくことができます。搾りたてのジャージー牛乳と善玉菌で育った小布施栗が絶妙な味わいを奏でる「小布施栗のジェラート」をmilgreenにてお楽しみください。
飼料の小布施産100%を目指して研究開発中です!
ようこそ小布施千年の森へ
ジェラートとチーズの工房&カフェmilgreenは、小布施の禅宗の名刹・玄照寺が所有する「小布施千年の森」にあります。
ここは、千曲川の支流・松川のほとりに広がる5ヘクタールの広大な平地林で、数千本のコナラやクヌギが生きています。この広葉樹の森を整備して牧草を育て、2 頭の子牛を放しています。四季折々に表情を変える美しい森を訪れる人たちが、子牛たちと触れ合える場になっています。
milgreenの設計は、「住まい塾」を主宰する著名な建築家・高橋修一氏によるものです。森を眺めながらジェラートやコーヒーを楽しみ、ゆっくりとおくつろぎください。わたしたちは、「楽農経営による美しい里山をふやします」を理念に掲げて、小布施町から全国へ、アジア諸国へ、この楽農スタイルを普及して参ります。